リザード☆プリンセス
「いつか素敵な人になれる日」


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[No.289] 白き嵐 第六話「嘘を継ぐ者」

STD 500 * 400 / 28951byte(.jpg)
Artist dds 2006年02月23日(木) 08時55分 (2)
アルス・ガルドーの中央にそびえる「祈りの塔」、
下に構える中央大聖堂との間には空中庭園が広がる。

「嘘は、、、嫌いかィ?」

その空中庭園で、神たる蛇は問いかける。

「偽りしか持たぬ者が、
 真実の信仰を持てるとは思いません。」

問われた少年は答える。

「ぷっ、くははっ。
 
 さっすがバハムールが選んだだけは在らァ。
 2千年前、あいつも同ンなじ事言ってたぜ。」

「、、、」

「真実の、、信仰ねえ、、、。


 そんな物が必要かい?」

「、、、!」

「信仰、信念、理想、、、真実。

 そりゃ大事だろサ。
 それが無くっちゃア生きて行けねェ。
 でもなァ、それの為に死んじまっちゃア
 元も子も無ぇやな。

 俺ぁよゥ、
 この国を、ここに住むお前らを
 生かす為ならよ、どんな嘘も
 突き通すつもりだ。」

「、、、でも、、、」

「それによゥ、ドラコよ。
 お前だって突いた嘘を突き通すために
 ここに居んだろが。」

「、、、

 それでも、、、」

「ん?」

「それでも、、、僕は、
 真実が知りたいんです。」

[Res.1] ▼ dds 06/02/28(火) 09:04
「っははっ、そりゃそうか。
 ツーかな、お前には、
 お前にだけはな、知る義務がある。

 バハムールを継がんとする者、
 ドラコ=ムート=テュフォン。」

呼んだ者をまっすぐに見据え、
ナーガンが笑みを消す。

「バハムールを、、、継ぐ?」

「ああ、そうだ。
 お前さんもうすうす感づいては
 居るんだろ?
 他の依り代達とお前さんの
 在り方が違うって事に。

 バハムールは、、、じき死ぬ。
 お前に力を托してな。」

「し、死ぬ?!、、、神が?」

「そりゃあ死ぬさ。
 人は死ぬし獣も死ぬ。
 森も朽ちるし河も枯れる。
 国も滅びりゃ大地もいつか沈む。

 神だけが、それから逃れるなんて
 法は無ぇや。

 、、、いや、
 在っちゃアいけねぇのよ、、、」

ドラコは声も無く立ち尽くす。

「真実が知りたい、って言ったな。
 だがな、
 それを伝えるのは俺の役じゃあ無ェ。


 付いて来な。」

[Res.2] ▼ dds 06/02/28(火) 09:27
中央大聖堂に祭られたバハムールの像。その前。

「この下だ。」

台座に手をかざす。
組まれた石の文様に青い光が這う。

「こっちだ。」とぷん。

台座の中に手を入れ、そのまま
吸い込まれて消える。

「、、、」

意を決して後を追うように
青い光に手を触れる。

「、、、水?」

まるで冷水に手を浸すように
白亜の台座に手が呑み込まれる。
そのまま一息に飛び込む。


「早く来な。」

壁が青白く辺りを照らす。
細く、長く、下へと続く階段の先には
ナーガンが見える。


「まあ言うまでも無ェが」

後ろも振り返らずにナーガンは続ける。

「全てを知っちまったら
 もう元には戻れ無ェ。
 人として死ぬ事も許されず、
 千年の度に甦っては戦い合う
 呪われたシロモンに成り下がる。

 、、、お前さんソレでも、、、
 良いんだな。」

ドラコは無言でうなづく。

「そうかイ、、、」


急に視界が開ける。
大聖堂と同じ程もあろうかという空間。
その中央に、氷に閉じ込められた
卵が在った。


「久しぶりだなァ、、、

 バハムールよぅ。」

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[No.288] 白き嵐 第五話「嵐の予兆」

STD 350 * 500 / 32485byte(.jpg)
Artist dds 2006年02月21日(火) 09時01分 (1)
アルス・ガルドーを取り囲む四つの「結界の塔」。
その間に渡された城壁の上。
灰色の空を滑空していたアルコーは
羽をたたんでそこに降り立つ。

「ほう、、、貴様らだったか。」

目の前には巡礼服に身を包んだ4人。
「、、、お前たちは先に行っていろ。」
一人が前に出る。
フードを上げると、燃え立つが如き
赤髪と、歪な角が現れた。

「お久しゅう御座いますな、アルコー殿。」

[Res.1] ▼ dds 06/02/22(水) 23:13
「何故に此処へ来た。」

「何ゆえ、、、とは。
 アルコー殿も御存知の筈。
 
 我らが御主様の三つに分かたれた
 御魂の最後の欠片、
 この地に封じられた
 その御首を奪い返しに
 参りまして御座います。」

「何を馬鹿な。
 早過ぎる。

 今焦って動けば
 全ては水泡と帰そう。」

「我らが御主様は
 その様にお考えでは
 御座いません。」

「、、、
 ヒュードルの差し金か。」

「、、、

 くっふふ、、、

 あの哀れな傀儡が?

 我らがこの角を捧げたるは
 グギン・ドーラ様唯一柱。

 忌わしきバハムールの
 眷属如きに我らが
 かしずくとでもお思いか?


 、、、最早貴様らの手を
 借りるまでも無い。」

 ゴッ。

巡礼服が燃え上がり
緋色のコートが現れる。

「ふん、そうか。」
刀の鍔口を親指で
押し切りながら呟く。
「祖霊も付かぬ依代風情が
 良くも吠えたものだ。」

「くく、、、
 せめてものよしみだ。
 この世界を滅ぼすという
 貴様の望みだけは
 我々が叶えてやろう。

 安心して消炭となるが良い。」 

[Res.2] ▼ dds 06/02/23(木) 07:13
下の「貴方の嘘と〜」が長くなったんで
一旦アルコーさん側に。

そしてアルコーさんピンチ。

[Res.3] ▼ たけとむ28号 06/02/28(火) 21:13
う〜む。なにやら七転八倒の展開にっ!
これは先が読めませんなぁ…

まぁ、読めたら書くほうも頭をひねる楽しみがなくなるんで、それはそれでナイス。

それよりもドラコ!

どうなるのか、どきどきですわん。

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[No.287] 白き嵐 第四話「貴方の嘘と僕の嘘」

STD 400 * 300 / 27429byte(.jpg)
Artist dds 2006年02月10日(金) 09時34分 (2)
神殿都市アルス・ガルドーの中央に
そびえ立つ「祈りの塔」、その最上階。

雪雲を裂き灰色の空を貫く結界を
ガラス越しに眺める。

世界を区切るその見えぬ壁の下には、
都市を囲む様に佇む四本の「結界の塔」。

雪と氷の結界に閉ざされた清浄の地。
神々の住まう土地。誇張でも比喩でも無く。


「、、、の後、正午より「神撰の儀」が
 執り行われます。
 具体的な内容に付きましては
 明日改めて、との事です。」
「分かった。有難う、ロウラン。」

窓の外を見下ろしたままドラコが応える。

「では。」

一礼をしてそのまま部屋から出て行く。


「、、、気になりますので?」

「ん?ああ。さっきの件か。
 頼める?アルコー。」

ドラコの視線は動かない。

「かしこまりました。
 先ほど感じたモノの気配、
 ちと探ってまいります。
 部屋の外に部下を2名置いてゆきます。
 何かあればその者に。」

「分かった。」


誰も居なくなった部屋の中央で、
ソファに埋まり立て肘で手を組む。

「、、、」

たぶん、きっと。
やはり、そうだ。

立ち上がり、上着を羽織る。


「ドラコ様、どちらへ?」

「コブリーヌの部屋へ行ってくる。」

「お供いたします。」

「いや、いい。アルコーがじき戻る。
 コブリーヌの部屋に来る様伝えてくれ。」

「し、しかし。」

「すぐそこだ。アルコーの件、頼んだ。」

「か、畏まりました!」


廊下を突き当たり、階段へと曲がる。

そこに。

蛇が居た。

「ぃよう少年。悩み事かい?」

[Res.1] ▼ dds 06/02/14(火) 07:38
「ああー、やっと絨毯、、、
 雪の上を通らなくて済んだのは
 何よりですけれど、
 もう肢がカチコチですわ。

 ううー、三太夫、おフロ、早く!」

「へいへい、ただ今。」
衣装ケースを部屋の中央に山と
積みあげると、そのまま奥の部屋に消える。

ぼっすぅ〜。
衣装ケースの上にコートを脱ぎ捨て
ソファーに埋まる。

「ふいー。
 ジョー。」
「ハイドウゾー。」

ジョーの淹れたコーヒーに
砂糖をスプーン5杯たっぷり
入れると、ゆっくりとかき混ぜる。

「ずず、ほふー。
 、、、?」

ぷにっぷにっ。
「oh〜、ソンナにお砂糖入れちゃうと
 ダルマさんになっちまうぜハニー?」

ぐいっ。とぽぽっ。
「N゛O゛オ゛オ゛〜〜!!!」

脇腹のお肉をつまむジョーの胸元から
ボディスーツの中にコーヒーを注ぐと、
奥の部屋に呼びかける。

「ねえ三太夫、ナーガン様は?」
「さあー、知らんですなあ。」

のた打ち回るジョーをよけて
前掛けで手を拭きつつこちらの
部屋に入ってくる。

「あーもう、緊張感の無い。
 誰にでもすぐに
 引っ付いてくんだから。」

「オイコラ、俺ァ仔犬か?」
「あら?」

振り返ると偉大なる祖霊の一柱が
腕組をして廊下の壁に寄りかかっている。

「ま、頭の上でトグロ巻いてないと
 思ったら。
 ん?こんなに離れて平気ですの?」
「あァ、この島の結界ン中は
 気が濃いからなァ。
 こうやって依代ナシで
 実体化出来ンのよ。

 ツーわけでちっくら散歩
 行って来らア。」

「ま、それは素敵。
 ナーガン様が付いてから2週間、
 やっと一人きりの時間が
 出来ますわ。」

「2週間ぽっちでガタガタ言うねィ。
 人の頭を流れ流れて幾年月。
 こちとら300年ぶりの
 一人歩きだっツうんだ。

 ま、すぐ戻らぁ。」

「300年ねえ、、、
 カミサマも色々大変ですのね。」

[Res.2] ▼ dds 06/02/14(火) 09:29
ドラコへ背中越しに顎をしゃくる。

「ちっと

 歩くか?」


中央大聖堂の上、風も無い空中庭園。
祈りの塔が落とす影の下。

警護の為一般信徒の姿は無く、
ただ二人の間を雪が舞う。

「ここァ変わらん。
 いつ来てもな。
 
 2千年前から、
 あの三つ首の馬鹿ったれから
 この国を奪い返して以来
 、、、ずぅっとな。」

「、、、」

「願わくば、、、
 願わくば、千年後も、
 その次の千年の後も、、、
 そうでありゃ良いと、

 そうは思わねえかい?」

「遠すぎて、、、分りません。」

「そぅかい。」

「考えて、、、」

「ん?」

「ずっと、考えていたんです。」

「何をだい。」

「、、、真実を。

 この国で、今語られている歴史と、
 歴史の真実と、、、
 僕が知った真実は、教会が伝える
 物とは全く別のものでした。
 いや、真実が何かさえ分らない。
 そして、この国の殆どの人は、
 おそらくこの島に居る神官達で
 さえも、、、
 僕と同じように、いや、
 偽りが偽りである事にさえ
 気付いていない。」

「知らん方が良いって事もあるサ。」

「ずっと、違和感があった。
 過去を曲げ、繕い、
 塞ぎ、造り替える。
 しかし、人は騙せても、、、
 あなた方を、、、
 神々を、偽れる筈は無い。

 貴方が、偽りの歴史を
 造っていたんですね。」

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